柔道の原沢久喜(はらさわひさよし)選手は、100kg超級の有望選手として、東京オリンピックでも期待される実力派。リオ五輪100キロ超級の銀メダリストです。
ところが、2017年夏の世界選手権で初戦敗退するなど、不調が続いています。
その原沢選手について、井上康生監督は「オーバートレーニング症候群の一種」だと明かしました。
当初派遣される予定だった11月の世界無差別級選手権(モロッコ)を辞退したのも、このせいだったんですね。
オーバートレーニング症候群とは、特にハードなトレーンングをするアスリートが陥りやすいのですが、自分でチェックできる方法はないのか、調べてみましたのでご紹介します。
オーバートレーニング症候群とは?
オーバートレーニング症候群とは、スポーツでハードなトレーニングをした後、十分に回復しないままにさらにトレーニングをして、疲労が積み重なって引き起こされる慢性疲労状態のことを言います。
どんなスポーツでも、一流選手になるほど陥りやすい症状です。
一流選手は、トレーニングそのものの負荷が非常に大きく、本来なら疲労回復を図るために十分な栄養と休息が必要です。
ところが、「もっと練習しないといけない」という気持ちから、回復しない状態のまま、またハードなトレーニングを繰り返してしまうんですね。
オーバートレーニング症候群の症状とは?
オーバートレーニング症候群になると、かえって競技の成績が悪くなったり、トレーニング効果がなくなってしまいます。
他にも、以下の症状が現れます。
- 疲れやすくなる
- 全身がだるく感じる
- 睡眠障害
- 食欲不振
- 体重の減少
- 集中力がなくなる
- 血圧の上昇
などです。
特に、朝起きた時の心拍数が高くなると言われています。
こんな症状になると、精神的にも追い詰められますよね。
これは、選手だけじゃなく、コーチにも問題があると思いますよ。
選手はとにかく、一生懸命トレーニングをしたいものです。でも疲労を抜いて十分回復できるようにコントロールするのは、コーチの役割でもあると思うので。
自分でできる!オーバートレーニング症候群をチェックする方法
自分でできるオーバートレーニング症候群のチェック項目は、以下の通りです。
- ジョギング程度の運動がつらい
- 安静にしていても疲労感がある
- 練習しているのに記録が落ちる
- 起床直後の脈拍が1分間に70以上
- 毎日走らないと不安だ
- 風邪をひきやすくなった
- よく立ちくらみをする
- 気分が落ち込み、眠れない
引用:http://www.drsfitnessnasa.com/fitness/dr_overshindan.html
この中で心配なのが「毎日走らないと不安だ」という脅迫概念みたいな感情ですね。
世界の中で過酷な戦いをしているアスリートは、私たちでは考えられないほどのプレッシャーと戦っていると思いますので、トレーニングを休むこと自体が恐怖なんでしょう。
オーバートレーニング症候群は回復する?その治療方法は?
基本はゆっくり休む!
オーバートレーニング症候群の治療方法ですが、基本的にはゆっくり体を休めることです。
ただ寝ているというのではなく、日常生活は普通にこなして、トレーニングは休むということですね。
栄養をしっかりとる!
その上で、筋肉の回復を図るために、栄養をしっかりとります。
糖類、たんぱく質、脂質をバランスよく摂取するのがポイントです。
サプリメントで補う!
また、ビタミンやミネラルなども多めにとるようにしないといけません。
そのため、不足しがちな栄養素はサプリメントで補うという方法があります。
競技のことを忘れる!
なかなか難しことですが、一時期でもいいので、頭の中から競技のことを追い出して、考えないようにするのも効果的です。
過度なストレスは、それだけで回復を遅らせますし、「トレーニングしないと!」という焦りを生みます。
ゆっくりストレッチ!
オーバートレーニング症候群の人は、筋肉の劣化が起こって、機能が低下している傾向があります。
筋肉への血流を良くして、回復を促すためにストレッチは有効な手段です。
揉みほぐすようなストレッチではなく、筋肉を伸ばすストレッチがオススメです。
筋肉の劣化といえば、極真空手で3連覇という前人未到の記録を達成した三瓶啓二師範は、トレーニングのしすぎで逆に筋肉が劣化してしまい、医者に「少しは運動したほうがいいですよ」と言われたという噂を聞いたことがあります。
それを聞いて「俺も一人前になったな」と思ったとか。
あ、これは私が聞いた噂話なので、真偽のほどは分かりませんので、悪しからず。
しかし、超一流のアスリートでも、オーバートレーニングのせいで筋肉を増強するどころか、逆に劣化を引き起こしてしまうという一例ではないでしょうか。
回復期間は、完全に治るまで1ヶ月以上はかかるようです。
焦らずに、時間をかけてゆっくり休息することが大切だということですね。