肥満症の定義について。肥満症って、病気なの?

肥満イメージ内臓脂肪の基礎知識

「肥満症」は、日本が独自に定義している「病気」です。
世界では肥満は病気という認識がないらしく、世界の肥満人口はなんと21億人もいるそうです。
そうした中で、日本では肥満の対策が効果を上げていて、世界的にも注目されているとのこと。

そこで日本肥満学会は、肥満の早期治療につなげるために、肥満症の定義を国際基準化し、世界に広める運動を始めました。

単に太っている状態が病気というわけではなく、「肥満」と「肥満症」とは明確に区別されています。では、「肥満症」の定義とは一体、どういったものでなのでしょうか。

肥満とは、正常な体重に比べて、体重が重い状態を言います。また、体脂肪が過剰にある状態を言いますが、単なる「肥満」と、「肥満症」というのは、全然違います。
日本肥満学会によれば、「肥満症」とは高血圧、高尿酸血症などの健康障害があり、内臓脂肪面積が、100平方センチメートルよりも多い状態、または、BMI値が35kg/m2よりも多い状態を言います。

特に、内臓脂肪が多い「内臓脂肪型肥満」は問題で、高血圧や高脂血症、糖尿病など、様々な病気のリスクをはらんでいます。

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肥満の状態は、BMI値で計算できる

現在、肥満の状態は、身長と体重から計算されるBMI(BodyMassIndex)値で判定できます。

BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))

で、BMIを計算します。
統計学的に、最も病気にかかりにくいBMI22を標準として、25以上を肥満と呼びます。
肥満度の判定基準は、以下の通りです。

肥満度の判定BMI
低体重(やせ)18.5未満
普通体重18.5以上 25未満
肥満(1度)25以上 30未満
肥満(2度)30以上 35未満
肥満(3度)35以上 40未満
肥満(4度)40以上

(日本肥満学会2000より)

肥満症の判断基準は?

BMIが25以上あっても、健康であれば特に大きな問題にはならないのですが、以下の2つに適合すると、肥満症という診断になってしまい、治療が必要とされます。

1.BMI25以上で、以下の健康被害を伴うもの

耐糖能障害・2型糖尿病
高コレステロール血症
低HDLコレステロール血症
高トリグリセリド血症
高血圧
高尿酸血症・痛風
脂肪肝
心筋梗塞
狭心症
脳梗塞
骨・関節疾患
睡眠時無呼吸症候群
月経異常
肥満妊婦
心理的サポートが必要な肥満症

2.BMI25以上で、上記の健康被害がなくても、内臓脂肪型肥満と診断されたもの

やはり怖いのは、「内臓脂肪型肥満」

体につく脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪に大別されます。
皮下脂肪は、皮膚のすぐ下に付く脂肪で、内臓脂肪は主に小腸の周りの内蔵に付く脂肪のことです。
多くの研究から、皮下脂肪よりは内臓脂肪のほうが、病気になりやすいことが分かっています。

内臓脂肪を測るには、お腹まわりを計測し、男性なら85cm以上、女性なら90cm以上の場合、内臓脂肪型肥満の疑いが濃くなります。

メタボの基準について
さらに、高血糖、高血圧、脂質異常のうち、2つ以上が重なった状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。
こうなると、重い生活習慣病にかかるリスクが高くなるので、早期の治療が必要になります。

肥満症を解消するには?

肥満症、特に内臓脂肪型肥満を解消するには、「食事療法」と「運動」の2つが必須になります。
問題は「食事療法」です。
最近は、いろんなダイエット法がありますが、炭水化物を摂らない「炭水化物ダイエット」も人気だそうですが、筆者はこれには反対です。
炭水化物は、脳や神経系のエネルギー補給のために必要な栄養素です。
そもそも、人間に不要な栄養素なんてありませんので、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、バランスよく摂取しないと、健康に悪影響を与えかねません。

筆者がおすすめするのは、「何でもバランスよく食べる、しかし、食べ過ぎない」ということです。
人間は、年をとると代謝が落ちてきます。
ということは、少ないエネルギーの摂取量で、十分に健康的な生活ができるよう「省エネモード」になるということです。
でも、若いころと同じような量を食べると、代謝量より多くエネルギーを取り入れることになり、消費しきれないエネルギーが、脂質に変わってしまうので、肥満になってしまうのです。

なので、食事で気をつけることは、

  • 1口ずつゆっくりと良く噛んで食べる
  • 腹八分目で抑える
  • 間食、夜食は食べない
  • 余分な脂や糖質を摂らない

ということです。
特に、寝る前の夜食は、一番太りやすいので、避けましょう。
間食や、夜食は習慣のものです。「食べない」という習慣を付けるようにしましょう。