内臓脂肪と高血糖

内臓脂肪の基礎知識

メタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲(男性85cm、女性90cm)に加え、「高脂血症」「高血圧」「高血糖」のうち、どれか2つが該当すると、メタボと診断されます。
ここでは、このうちの「高血糖」について解説します。
高血糖とは、具体的には空腹時血糖値が110mg/dl以上を指します。

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血糖値が上がることで、糖尿病のリスクが高まる

血液の中で、糖が増えすぎた状態を「高血糖」と言い、血糖値がある一定のレベルを超えてしまうと、「糖尿病」と診断されます。
糖尿病になると、インスリンというホルモンが足りなくなることで起こる病気です。
インスリンは、体の中で血糖値を下げる働きを持っています。
糖尿病には、このインスリンが何らかの影響で出なくなる「1型糖尿病」と、遺伝的な要因や、生活習慣が元で起きる「2型糖尿病」があります。
このうち、内臓脂肪が関わっているのは、2型糖尿病ということになります。

内臓脂肪と血糖値の密接な関係

健康診断

糖尿病というと、遺伝的なものと考える人が多いですが、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ、運動不足による生活習慣病が元で起きる「2型糖尿病」が、日本人の中で急激に増えています。
2012年国民健康・栄養調査結果によると、約950万人の日本人が、糖尿病が強く疑われるという、驚くべき数字が出ています。
糖尿病予備群は、なんと1,100人もいます。
内臓脂肪が原因になるメタボリックシンドロームが、増えている証拠でしょう。

健康診断を受けた人は経験あると思いますが、診断の前日8時以降は、食事はおろか、飲み物も摂ってはいけません。
その状態で、翌日の朝に健康診断を受けますが、この時に測定されるのが、「空腹時血糖値」で、これが診断の基本データになります。
その値が基準値(110mg/dl)を超えている場合、高血糖と診断されるのです。

お腹の中に溜まった脂肪からは、糖の代謝がどんどん肝臓に送られ、大量の糖が作られて血液に流れ込みます。
その結果、インスリンの働きが低下し、増えてしまった糖を処理しきれなくなった結果、血糖値が上がるのです。
内臓脂肪と血糖値は、密接な関係があるのです。

タバコも、血糖値を上げ、糖尿病を引き起こす

たばこを吸う人は、糖尿病のリスクが高まります。
ニコチンの作用によって、血管が収縮します。その結果、慢性的にアドレナリンや副腎皮質ホルモンが放出され、インスリンが効率よく働かなくなります。
その結果、血糖値が上がり、糖尿病を引き起こすことになるのです。
「禁煙をすると太る」という説もありますが、喫煙そのものが内臓脂肪を増やすという説もあり、1日のタバコの本数が多い人ほど、メタボリックシンドロームの発症率が高いという調査結果もあるほどです。こうしたことからも、禁煙の必要性が言われているのです。