肺がんなどの治療薬として効果が高いとされているのが、オプジーボです。
ただ、オプジーボは非常に高価な薬で、1年間使った場合、なんと3,500万円もかかると言われています。
そこで政府は、オプジーボの価格を50%に引き下げる方針を発表しました。
さて、このオプジーボは、どんな薬なのでしょうか?
肺がん治療にどれくらいの効果があるのか?
また、保険適用はされるのか?
値下げはいつからなのか?
いろいろと気になったので、調べて見ました。
肺がん治療薬オプジーボとは、どんな薬?
今までのがん治療は、手術、放射線療法、化学療法がメインとされていましたが、最近では「がん免疫療法」と言われる治療法が注目されています。
オプジーボは、このがん免疫療法に使われる薬です。
人の免疫機能が正常なうちは、T細胞という免疫細胞が、体内にできたがん細胞を攻撃してくれるのですが、がん細胞も黙ってやられぱなしになりません。
免疫細胞に攻撃されないように、PDL-1という物質を作り出し、T細胞に「がん細胞への攻撃をやめろ!」という信号を発信するのです。
すると、免疫機能にブレーキがかかり、がん細胞が攻撃を受けることなく増殖してしまいます。
オプシーボは、この免疫機能へのブレーキ信号を出さないようにして、T細胞ががん細胞を攻撃する能力を高めてくれるのです。
つまり、がん細胞を手術や放射線で取り除くのではなく、免疫機能をアップしてがん細胞を攻撃する力を高めてくれるのです。
オプジーボの効果はどのくらい?肺がんに効果あるの?
オプジーボは、基本的には手術による治療が難しい患者さんを対象に使用されます。
静脈から1時間以上かけて、点滴注射で投与します。
投与量は、患者さんの治療歴や体重によって決められ、2週間を1サイクルとして投与するケース、3週間を1サイクルとして投与するケースなど、患者さんの状態によって治療期間が決められます。
欧米での治験では、抗がん剤とオプジーボをがん患者272人に投与して比較したところ、1年後に抗がん剤の生存率24%に対して、オプジーボが42%と、倍近い生存率を示し、驚くべき効果を出しています。
このように、治験段階では驚くべき効果を出していますが、国立がん研究センターでオプジーボを肺がん患者に投与したところ、効果がなく病気が悪くなる人もいたということで、完全な夢の新薬というわけでもなさそうです。
オプジーボに保険は適用されるの?
がん治療というと、保険が効かないとか、すごく高価というイメージが強いですが、オプジーボは保険適用されるのでしょうか?
現在は、皮膚ガンの一種悪性黒色腫や、非小細胞肺がん、手術ができない転移性の腎細胞がんへ保険が適用されています。
オプジーボの開発元の小野薬品は、血液のがんや、頭頚部のがんへの適用も申請しています。
血液がんの一種については、年内にも保険適用がされるということで、様々ながんに保険適用が拡大される動きが出ています。
オプジーボの値下げはいつから?
前述したように、オプジーボは1年間使用した場合で3,500万円もかかります。
ということは、保険適用されると医療保険財政にすごく負担がかかるということ。
だから、医療費を抑えるために、50%の価格に引き下げるというわけです。
現在、患者が支払うオプジーボの医療費は、年齢や収入に応じて上限が定められていて、残りは社会保険などで賄われています。
今回、オプジーボを値下げした場合でも患者の負担額はほとんど変わらないとのことです。
患者の負担額は変わらなくても、保険適用で増える財政支出を抑えるというのが目的のようですね。
さて、オプジーボの値下げですが、2017年2月から適用される見通しとのことです。
保険適用の範囲が広がると、がん患者の治療方法の選択肢が増えるので、治癒の可能性も高まってくるのではないでしょうか。
ただ、効果が出る人と出ない人がいるのも実情。
夢の新薬という過度な期待感は、まだ持つべきではないと思います。