山中慎介のトレーナーは元日本王者?タオル投入の是非について

ボクシングイメージスポーツの話題

かなりショックな敗戦でした。
8月15日に行われたプロボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチで、具志堅用高さんの日本記録に並ぶ13度目の防衛戦に臨んだ山中慎介選手でしたが、4ラウンドにまさかの「タオル投入」によるTKO負け。

調べたら、WBCって、タオルを投入しただけでは負けにならないそうですね。
セコンドがリング内に足を踏み入れた瞬間に「反則負け」になるそうなんですが、今回はタオル投入と同時に、セコンドのトレーナーがリング内に入ってしまいました。

そこでレフェリーは、やむなくTKOという裁定を下したというのが真相のようです。
さて、今賛否両論の嵐を起こしているこの「タオル投入」。
帝拳ジムの本田会長も怒り心頭のようですが、その怒りを向けられているのが山中選手と長年タッグを組んできたトレーナーの大和心さんです。

山中選手のトレーナー、大和心さんとはどんな人物なのか、ちょっと気になったので調べてみました。

スポンサーリンク

山中選手のトレーナー、大和心さんの経歴

大和心(やまと しん)さんは、元プロボクサーで、第57代日本バンタム級王者、第24代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者という輝かしい経歴を持っているトレーナーです。

身長175cmで、スーパーバンタム級の選手として活躍しました。
元々は、心さんのお父さんもプロボクサーで、小学5年生からボクシングを習っていたという、ボクシングエリートです。

大和さんの経歴は、以下の通りです。

経歴
1993年全日本高校フライ級6位。関東大会優勝
1994年6月スーパーフライ級でプロデビュー。東日本新人王準優勝。
1995年B級ボクサー賞金トーナメント優勝(バンタム級)。
1996年 A級ボクサー賞金トーナメント優勝(バンタム級)。
1998年1月日本バンタム級王座獲得!
2000年2月東洋太平洋スーパーバンタム級王座獲得!6月初防衛に失敗し、10月に王座に再挑戦したが負け、2001年に現役を引退
2001年タレント業に転身。「進ぬ!電波少年」の企画である「電波少年的アンコールワットへの道の舗装」に参加するなど、テレビで活躍。
2006年帝拳ジムでトレーナーに就任。山中慎介が、初めての担当

現在42歳。
元日本王者と聞いていましたが、実際は東洋太平洋チャンピオンにもなっていたんですね。

山中慎介選手との関係について

びっくりしたのが、トレーナーの初担当が山中選手だったんですね。
その初担当の選手を、世界チャンピオンに育てたということは、トレーナーとして一流なんじゃないでしょうか。

以来10年間、大和トレーナーは山中選手のトレーナーを務めています。
山中選手とは兄弟のような間柄でもあったようで、

名前のイニシャルや利き手など「共通点が多く、教えられることが多かった」と言う。伸び悩んでいた新人ボクサーと、異色の新米トレーナーは気が合った。
ともに怒り、喜ぶ。兄のような柔和な口調。強打の山中のためにスポンジが硬いミットも特注した。もう新米時代はこない大和トレーナーにとっては、生涯一人だけの兄弟のような教え子の成長は、格別の感慨だった。
2012年 スポニチアネックスの記事より

と、単なるボクサーとトレーナーの関係を超えた、熱いつながりがあったんじゃないでしょうか。

大和トレーナーのタオル投入に関する感想

今回の世界戦の入場シーンを見たときに感じたんですが、山中選手の隣に寄り添うように佇んで、柔和な笑顔をしているのが印象に残りました。
逆にいうと、「あれ、13回防衛の日本タイ記録がかかっているのに、あのトレーナー余裕の笑顔やん」って若干の違和感とともに思いました。

あの入場の際の大和心トレーナーの心境はどうだったんでしょうか?
まさか、あのような結末になる(自分のタオル投入で負け)とは、予想だにしていなかったに違いありません。

私の感想ですが、「タオルはちょっと早かったのでは?」です。

こんなこと言うと、「判断が遅れて取り返しのつかないことになったら、どうするんだ!」と怒られるかもしれませんが、それでも「ちょっと早かったんじゃないの?」と、どうしても思ってしまいます。

確かに、相手のネリ選手の左右フックのラッシュで、一見山中選手がKO寸前まで追い込まれたように見えました。でも、ダメージブローはほとんどなかったんじゃないかな?
打たれても、クリーンヒットを許さなかったし、相手をよく見ていたと思いますよ。

ただあの場面「やばい、このまま打たれるとレフェリーストップがかかる!」とヒヤヒヤして見ていたのも事実です。レフェリーによっては、早めにストップする場合もたくさんありますので。

でもレフェリーも冷静に、山中選手のダメージを測っていたようですし、残り30秒のあの時点ではストップもしなかったんじゃないかな?

ただ「早い」と感じたのは、あの時点での感想です。
もしかして、残り30秒も同じように打たれ続けたとしたら、レフェリーがストップをかけたかもしれませんし。危険な状態になっていたかもしれません。

大和トレーナーがタオルを投げたのは、山中選手を壊したくないとの判断だったでしょう。
10年来、弟のように可愛がってきた選手が、目の前で猛打を受けている。
しかも山中選手は34歳。
今まで戦って蓄積されたダメージもあると思います。

そうした判断で、タオル投入を行なったのでしょう。
選手の健康管理をしっかりするのも、トレーナーの役割ですから。

あのエディ・タウンゼントも、タオル投入が早かったと言われています。

「ボクシング辞めたアトの人生の方が長いのヨ。誰がそのボクサーの面倒ヲ見てくれるの?無事に家に帰シテあげるのもワタシの仕事ネ」

とは、エディの名言。
だから、大和トレーナーの判断は、間違っていたとは言えないんですよね。

正直「タイル投入は早かった」とは思いますが、だからと言って大和トレーナーの判断が間違っているとも言えない。なんともモヤモヤの残る世界戦でした。
山中選手、今後どうするんだろ・・・