腸内フローラと肥満の関係について。太りにくい体質を手に入れるには?

腸内フローライメージ内臓脂肪の基礎知識

「痩せの大食い」という言葉がありますが、いくら食べても太らない人っていますよね。
私の周りにも何人もいます。ほんとに羨ましい限りです。逆に、ちょっとしか食べてないのに太ってしまう人もいます。

いくら食べても太らないのはどうしてでしょう?単に「体質だから」というだけでは納得できません。それで色々と調べてみると、太りにくい理由は「腸内フローラ」が関係していることが分かりました。

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腸内フローラとは?

腸内フローラの「フローラ」とは、ラテン語で「お花畑」だそうです。
腸内のお花畑?
このフローラというのは、分類学では「植物群集」を指すようで、もともと細菌が植物に分類されていたから名付けられたということです。

ということは、腸内フローラとは腸内にたくさんある腸内細菌が集まって群集になっている。この細菌や微生物の群集を「腸内フローラ」と呼んでいます。

まさに、細菌のお花畑という感じですね。

驚くべきは、腸内細菌の数です。なんと、100兆個もあるというじゃないですか。私は算数が大の苦手なので、その途方も無い数はまったくピンときません(笑)

また、その種類は一人あたり数百個になり、その細菌類の構成は食生活や年齢によって、一人ひとり違うというのです。人間の体は、神秘に満ちあふれていますね。

さて、この腸内にある細菌たちのお花畑、腸内フローラは肥満とどんな関係があるのでしょうか?
また、食べても太らない人は、太りやすい人に対してどんな腸内フローラになっているんでしょうか?

腸内フローラのバランスが、肥満に関係していることが判明

ここに非常に興味深い説がありますので、紹介します。

英国の権威ある科学雑誌「ネイチャー」の2006年12月21日号で、アメリカのワシントン大学医学部、ジェフリー・ゴードン博士のグループが発表した内容は次のようなことだそうです。
①「肥満型」と「やせ型」に特徴的な腸内細菌バランスがある。
②肥満のマウスの腸内細菌を別のマウスに摂取させると、総脂肪量が増加した。
つまり、「腸内細菌が肥満に関わっている」ということがすでに科学的に証明されているのです。
引用:http://kohso.com/index.php?肥満と腸内細菌

感染症の治療のために糞便を移植する治療が検証されており、その中で、肥満の人から糞便移植を受けると、やせている人が肥満傾向になったという報告が出てきた。動物実験でも同様な現象が確認された
引用:http://www.mededge.jp/b/tech/9196

つまり、肥満している人の腸内細菌を痩せた人に移植すると、移植された人が太ってしまったという研究結果が出ているのです。

上記引用の2つめでは、感染症の治療のために正常な人の糞便をの患者の腸内へ移植するという治療の中で発見されたそうです。(こんな治療法があったとは、驚きですが)

その治療の中で、肥満した人の糞便を移植された人が1年ちょっとで体重が62kgから77kgまで増えてしまったのこと。

腸内フローラのバランスは、一人ひとり違うとのことですが、このバランスが太りにくい人と、太りやすい人を作り出しているのかも知れません。

腸内フローラのバランスを整えて、太りにくい体になるには?

太りにくい体を作るには、腸内フローラのバランスを変えることが大切だと分かりました。
では、どのように腸内環境を整えたら良いのでしょうか?

腸内フローラはもともと、その人が持っている体質によるものも大きいと思います。特に何も節制していないし、よく食べるのに痩せている人は、元々の体質として腸内フローラのバランスが太りにくいということになっているのでしょう。

この「太りにくい」という環境ですが、様々な説があります。

バクテロイデス菌が多い人ほど太りにくい

バクテロイデス菌というのがあります。
これは、腸内フローラの中の一つの菌ですが、肥満の人はバクテロイデス菌が少ないということが分かっています。

私たちが食べたものは、腸内で分解され、様々な栄養素として吸収されます。その時腸内細菌が様々な物質を出しますが、バクテロイデス菌は短鎖脂肪酸という物質を出します。

この短鎖脂肪酸が、肥満を防いでくれるのです。また、筋肉に作用して脂肪を燃やす働きがあり、これも肥満を防ぐ役割を果たしています。

クリステンセネラセエという腸内細菌も肥満を防いでくれる

クリステンセネラセエという、舌を噛みそうな名前ですが、これもバクテロイデス菌と同じように短鎖脂肪酸を出してくれる細菌です。
これも脂肪を燃焼してくれるという説があります。

クリステンセネラセエは、多くは遺伝により多く持っている人と少ない人に分かれるようです。
どんなに食べても太らない人は、元々遺伝体質であるというのも、大きな要素かもしれません。

まとめ

腸内フローラは、当然ながら私達の目で見ることが出来ませんし、遺伝的に太りにくい腸内フローラの環境かどうかも分かりません。

なので、私達にできることは出来るだけ腸内の環境を良くするということでしょう。
それには、食物繊維をたくさん摂る、ビフィズス菌やシロタ株を多く含んだ飲み物を飲む(ヤクルトなど)、ということでしょう。

肥満につながる腸内細菌だけを減らす方法はまだ解明されていませんので、普段の食事で上記のような食べ物や飲み物を摂り、人工甘味料などを控えて腸内環境を整えるしかないということです。